木曜第二研究所

見える範囲を、ちまちま書いております。

報告書「お姉さんという存在」

 【定義 】

「お姉さん」とは、血縁はないが、なんらかの形で親族となった自分より年上の女性全般を指す。

 

お姉さんが初めてできたのは幼稚園か小学生の時で、ある日いきなり居た。血の繋がりのある年上はみんな男ばっかりだったから単純に嬉しかったのを覚えている。色んなところに連れていって貰ったり、ちょっと背伸びしたオシャレを教えてもらった。可愛がって貰った7年ぐらいの間は楽しかった。ギャグセンスが突出していて、彼女が考えたネタを思い出すと不自然に口角があがる。スプラッシュマウンテンの水が全部ゲロとか、ハッキーマウス(嘔吐するネズミ)というくだらないことで大笑いしていた。

その人は緩やかに弱っていった。当時は遊んでくれないことがとにかく寂しかったが、今思い返すと大変だったろうなと思う。人の苦労を想像できる年齢になったのと年に数回しか会わない子供でも明らかに衰弱していった。そしてある日いなくなった。習志野に住んでるらしいと聞いたけど探す力もあって良い権利も無いまま流れながれて今に至る。

 

2人目は小学3年生の夏でこっちもいきなり居た。ドアを開けたら階段にいて、大きめの声を出した気がする。こっちもすぐ懐いて、一緒にお出かけした。一人目より遠い親戚だったからあんまり会うことはなかったけど、はじめてのお姉さんより歳が近いのと、中学生になってガールズトークの雰囲気もちょっと違った感じがした。高校生になって彼氏ができたら色々相談に乗ってもらうとか考えてたし、一緒に買い物とかできたらなぁとかこっそりワクワクしてた。

 

だけどお姉さん運が無かったらしく、もう2人に会うことはない。私のあずかり知らぬところで人生は動くものだから、どうすることもできないけど。突きつけられるような別れは所詮その程度と言われたようで楽しくお喋りしてた時間は嘘だったのか、と勝手に思い込んでしまう。そんなことはない。そもそも近くないのだから。これが答え。

 

どれだけ愛情をもって接していても、いつかいなくなってしまう。それがお姉さんというものなのだ。