木曜第二研究所

見える範囲を、ちまちま書いております。

報告書「はじめまして二郎」

二郎系のラーメンを初めて食べに行った。食べたいというよりは、今まで一切二郎系なるものを食べてこなかったので、せっかくの機会だから食べてみようじゃないかと思った次第。

 

試しによってみると、開店前なのに並んでいる。初めから順に男、男、男、男、男、木曜日、男。並んでいるとすぐさま第一の試練が訪れた。運悪くこのお店、向かいに美容専門学校があり、学生の帰り際と重なってしまったのだ、金髪銀髪紫色のカラフルでチャラりとしたパーリーピーポー学生が群れをなし通り過ぎていく。中高と地味に過ごしてきたこちらはサタデーナイトの権化のようなピープルにはすこぶる弱く、帰ろうか…?という気持ちがむくむくと込みあがる。しかし並んだのにすごすごと踵を返すこともしたくない。弟子よ、戦うことはない、己の世界に入り込み嵐が過ぎるのを待つのだ、過剰に恐れることはない。師匠………わかりました。無駄な血を流さないことは世界平和の第一歩!真に強きものは弱きを無闇につぶさないのが強き者の運命…!!そうじゃ、さすがわが弟子、よく心得ておる。みたいなやりとりを交わすうちに開店、ぞくぞくと入っていく人々。あっというまに店内はメンズで埋め尽くされた。食券を出したらみんなスマホにかじりつき、己が求める一杯が来るのを待つ。その姿はまさに目的のための身に集った強者、小娘もいいところの私にはいささか居心地が悪い。店長は優しいし店員さんは飯伏幸太に似ている。(飯伏幸太はプロレスラー)が、緊張してしまいこの修羅の集う店で落ち着いていることができない。これが第二の試練…ここで冷静でいられないようじゃうちのラーメンは食えないってか…店長あんたも人が悪いねぇ…へっへっへ…と1人妄想しなければ安心することができない。レディースに囲まれた生活が基本の私にとって間違いなくイレギュラーな空間は着実に気力を削っていく。 

 

そして最後の試練は訪れた。

 

「ニンニク、アブラ」「ヤサイマシマシ、 ニンニクスクナメ」「ゼンブマシ」

急に詠唱が始まった。端から一人ひとり口以外の表情筋を動かすことなく答えていくその様は熟達そのもの。耳を澄ますとどうやらコールと呼ばれるトッピングの類のようだ。なんとなく多くの人が頼んでいたので「アブラ」とおそるおそる口にする。どうやら詠唱は成功したようだ。目の前にどんぶり、すべての試練をやりとげたものに与えられるネットやテレビでよく見る二郎系ラーメンがそこにあった。いざ、食べてみると肉が柔らかい。分厚いのにすぐ嚙み切れる。うまい。ヤサイがくたっとしていておいしかった。中でもアブラ、アブラなんて所詮豚のアブラじゃないかと思っていたけどしっかし目に味のついたアブラはヤサイとの相性がすこぶるよかった。うめえなアブラ。ぶっちゃけ後半小食の私は頑張らなければいけなかったが780円でこんなにおなか一杯になるのなかなかないなとおもった。また機会があれば足を運ぼうと思う。